【完】復讐の元姫
ただ、汐乃が帰ってきてからまだ一度も実家に来てなかったからな。
汐乃はひさしぶりか。
「ほんとに帰ってきてくれて嬉しいわ~っ。あのね、汐乃ちゃん。
麗ったら、本当に嬉しかったみたいで、その日の夜にわざわざ電話くれたのよ?」
「え、麗、そうなの?」
ちげーよ。
「あれは別の要件だっただろ……」
「でも、“汐乃が帰ってきた”ってすごく嬉しそうに言ってたじゃない。
ふふっ、あれから楽しみにしてたの!来てくれてすごく嬉しいわ」
余計なことばっか言うなよな。
汐乃は事実だと気づいたのか、くすくす笑っていたけど。
「お泊まりしてく?
きっとお父さんも喜ぶわよ?」
「泊まらねーよ」
そもそもふたりで今は暮らしてんだから、もう邪魔とかないからな。
「あら、残念……。
たくさんお話ししたかったのに」