【完】復讐の元姫
「別にそんなに遠くねぇんだから、来ようと思えばいつでも来れんだろ。
それに、今日は用事があんだよ」
「え、そうだったの?
ごめんね、私知らなくて無理言っちゃった?」
「いや、言ってなかったから知らなくて当たり前だろ。
というか、一緒に来てもらう予定だからな」
不思議そうに首を傾げる汐乃にそれ以上悟られないために、適当に話を流す。
俺の今日の用事のメインは、汐乃とのデートじゃない。
「汐乃、そろそろ行くか」
実家に来て、1時間すこし。
ひさしぶりに会って話したいんだろうけど、生憎俺にも計画があるからな。
「麗、もうちょっとダメなの?」
母親がそう聞いてくるけど、今日だけは譲れない。
つか、誰にも言ってないから知らなくて当たり前といえば当たり前だけど。
「近いうちにまた、別の件で連れてくる予定だから」
「……? わかったわ。約束ね」
「ああ」