【完】復讐の元姫



「え、用事じゃないの?」



「あとで分かるから」



そう言って頭をぽんぽんと撫でれば、小さく頷いて奈々の元に駆け寄っていく。



それからふたりは階段を上がっていった。



──さて。



「シオに隠すぐらいの話なんだ?」



何か深刻に考えてねぇか?



ほかの奴らがいる方まで足を進めて、そして汐乃たちには聞こえないよう口を開く。




「別にそこまで深刻な話じゃねぇよ」



「じゃあ、」



「……今日、呼んだのはな」



本当は、悩んだ。



どこでするか。誰を呼ぶか。



いっそのことふたりでいいと思ったけど、俺らの仲を元に戻してくれたのはこいつ等だから。



俺らのはじまりは、この場所だから。



色んなことがあった、この場所で。



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