【完】復讐の元姫



彼女を呼んで、そして。



目の前に来た彼女に、告げる。



「俺と、結婚して」



汐乃が海外にいる間。



帰ってくるかもわからないのに淡い期待だけで集めた分の金はかなり貯まった。



まさか、本当に使うときが来るだなんて、思ってなかったけどな。



いかにもな感じはあるにしても、わざわざ色々とアレンジする必要はない。



どれだけ飾ったって、誰かを好きな気持ちは「好き」というシンプルなものだ。




差し出したそれに、彼女が目を見張って。



そして、涙を溜めて、笑った。



「私で、いいの……?」



「お前だから言ってんだよ」



「うん……ありがとう、麗。

私でよければ、結婚してください」



そう言う彼女が、あまりにも綺麗で。



思わず抱きしめれば、倉庫に溢れる歓声と拍手。



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