【完】復讐の元姫



彼女は俺に抱きついて、しばらく泣いていた。



……愛おしいな。



強く抱きしめて、そしてようやく彼女が泣き止んできた頃に左手の薬指に指輪をはめて。



「もう、二度と離さねぇから」



「ホワイトデーのお返しにしては、もったいなさ過ぎるわよ……」



目尻の涙を拭いながら、彼女が微笑む。



でも実際、彼女以上に泣いてるのは奈々の方で。



「今度こそ、汐乃……幸せになってね」



俺から離れたあと、汐乃は奈々にそう言われて再び涙を浮かべていた。




ふたりで抱き合って泣きじゃくってたけど、それもまぁ愛おしいもんだな。



「なんか、ムカつくね」



「まぁ、今日はこれがメインだからな」



ふっと笑って、幸せそうにほほ笑む汐乃に視線を向ける。



ああ、そうだ。



「お前らに、言いたいことあったの忘れてた」



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