【完】復讐の元姫
でもまぁ、聞いたら長そうだな。
「じゃあ、なんで親父と結婚してんだよ」
「それは……ほかの幹部にも手伝ってもらって、
足掻いたからじゃないかしら」
「……誤解、解けたのか」
「ふふ、そういうこと。
でもね、私は麗のことが好きだったから、そうやって頑張れたのよ」
玄関から、微かに鍵の開いた音がした。
……親父、帰ってきたっぽいな。
「だから、女の子は頑張れるものよ」
それが、より大切な人なら、と。
言った母親は晩飯を作り終えたらしい。
ソファに腰掛けている俺の頭をくしゃりと撫でると、玄関に行ってしまった。
出迎えなんて、相変わらず仲の良い夫婦だな。
──でも。