【完】復讐の元姫
:好きって言わなきゃ、(Ver.2015)
【汐乃麗の息子である雅と、千夜は別作品GAME OVERのキャラクターです】
「汐乃さん、汐乃さんっ。
飾り付けってこんな感じでいいですか?」
ひょこっと、リビングからキッチンに顔をのぞかせる千夜ちゃん。
彼女らしい、愛らしい飾り付けに、思わず頬がゆるむ。いかにもハロウィンって感じだ。
「千夜ちゃん、完璧」
「えへへっ。頑張っちゃいました」
──10月31日、ハロウィン。
べつに特別大きなイベントってわけでもないから普段は大したことはしないのだけれど、今年は千夜ちゃんもいるから、ちょっぴりごちそう。
といっても、千夜ちゃんも雅も受験生だから、ささやかなお祝いだ。
雅は彼女を家まで送ったあと、倉庫に行っているし、麗も仕事。
ふたりともに早く帰ってくるように言ってあるから、ちゃんと帰ってきてくれるだろう。
ルンルンと乗り気で出来上がった食材を運んでくれる千夜ちゃんに、
「きっと雅も楽しんでくれるわよ」
そう言えば、彼女はふわりと嬉しそうに笑った。