【完】復讐の元姫



「遅くなってごめんな。……ん、これ」



差し出されたファンシーなハロウィン柄の紙袋。



ハロウィンだからわざわざ買ってきてくれたのか、とそれを受け取ると、麗は「着替えてくる」と部屋に行ってしまった。



紙袋の中に入っている、これまたファンシーな柄の包装紙をといて箱を開けると、中にはハロウィンバージョンのチョコレートの詰め合わせが入っていて。



「……かわいい」



ふふ、と思わず笑みが漏れる。



奈々に自慢しよう、とスマホで写真を撮ったあと、紙袋の中に、まだ別のものが残っていたことに気づいた。




「……?」



お店で小物を買った時に入れてくれるような、小さなショップの袋。



中を開ければ、鮮やかなオレンジ色のシュシュが入っていた。



「……あれ」



このシュシュ……見覚えが、あるんだけど。

どこで見たんだっけ、と思い出しながら紙袋をもう一度覗くと、小さなメモ用紙が一枚。



半分に折りたたまれたそれを開くと、そこには綺麗な文字で『愛してる』と一言。



「麗……」



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