【完】復讐の元姫
「覚えてくれてたの……?」
「たまたまな」
絶対嘘だ。たまたま、なんてあやふやなものじゃなくて、麗は私が欲しいって言ったのを覚えてた。
「……麗」
「ん?」
「お菓子よりも素敵なものをありがとう」
ふ、と笑って、麗がキスをくれる。
そのまま、「寝室行こう」とささやかれて、いつもなら反対するのだけれど、今日は素直にうなずいた。
麗と過ごすと、どんな日さえも特別なものになる。
いまだって胸がいっぱいで、結婚してかなり経つ今でも、麗のことが好きすぎて苦しい。
「ああ、そうだ」
じ、とベッドに横になったまま、何かを言いかける麗を見上げる。
思い出したように麗が口を開いた。
「好きって言わなきゃ、」
その言葉の続きは、なんとなく想像できるから。