【完】復讐の元姫
え……どういう状況ですか、これ。
「れ、麗さん?」
「……つけてるんだな」
「えっ?」
深い声色で囁かれると、背筋がざわざわする。
振り返ってしまえば、至近距離に彼がいることはわかっていて。
呼吸を見失いそうで振り返ることができずにいれば、彼の指が、触れたのは。
「あ、うん。そうなの」
2年前に彼がくれた、オレンジ色のシュシュ。
普段使いもできるけれどすこしだけ特別な時につけるそれは、お気に入りのひとつ。
「麗……?」
だめだ、甘い雰囲気が充満してきた。
はやくもどって、4人で夕食にしたいのに。
このままじゃ呑まれてしまう。
「ねえ、」
「静かに」
「っ……」