【完】復讐の元姫
瞳の潤んだままの梨緒も。
どこか諦めたような沙和も。
訝しげな表情の凌も。
意味深に口角を上げる時雨も。
何も言わない無表情の麗も。
姫の権利を駆使する奈々も。
「どういたしまして、シオちゃん」
……きっと、最後は私を裏切るから。
正直、時雨の言葉も信じ切れてない。
「麗、ここにいても暇だから。
早く倉庫行かない?」
「……そうだな」
「行こう、シオちゃん」
奈々に腕を引かれて、先に屋上を出る。
後からついてくる5人は、何かを話していて。
「いてもいなくても変わらない」と言っていた時雨は、きちんとそこに馴染んでいた。
きっと、彼もそこまで本気じゃないんだと思う。