【完】復讐の元姫



その言葉に、胸が痛む。



「來唯、」



「シオさんいなくなってから、龍錬花全体が沈んじゃって。

幹部の皆さんなんて、落ち込みまくってたんですよ」



嘘だ、そんなの。



「挙句の果てに新しい姫は、幹部の皆さんに対してワガママ多くて。

下っ端みんな、あの頃のシオさんが戻ってこれば良いのにって」



その言葉に、ハッとした。




「來唯、ごめん。

戻ってきたわけじゃないから」



あの頃の、私。



それはもう。



「え、じゃあなんで、」



「奈々に連れられて来ただけだから。

別に戻ってきたわけじゃないの」



──存在しない。



毎日笑っていたあの頃の私は、2年の間に姿を消していた。



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