【完】復讐の元姫
「……あ、ごめん」
昔の癖で、幹部室を無断で開けてしまった。
だけど沙和は気にしてないようで、「キッチン?」とたずねてくる。
「……うん。お粥作るのに」
「最近料理誰もしてないから、材料とかそんなにないんだけど」
「大丈夫。お米あれば出来るから」
幹部室にはキッチンがあるのだけれど、ここじゃなくて下っ端用の方を使えばよかった。
昔、ずっとこっちを使っていたから。
「相変わらず、料理上手だね」
貸してもらったキッチンでお粥を作る私に、沙和はふわりと微笑んだ。
「…料理って、お粥なんだけど」
「うん。でも手際良いし」
「奈々ちゃん、シオに教えてもらったら?」
「え~っ、それ嫌味なの?」
「そうじゃなくて。
奈々ちゃん、料理習いたいって言ってたからさ」