【完】復讐の元姫
「許してくれるか?」
あまりにも切なげな声に、思わず顔を上げる。
私と合った瞳は、やっぱり哀しげで。
思わず彼を、ぎゅっと抱きしめた。
「麗……」
名前を呼べば、彼は安心したみたいに私の肩に顔を埋める。
……この人に、復讐すると誓ったはずなのに。
どうしても、彼を突き放すことが出来ない。
「麗、大丈夫だから」
「……ああ」
「安心して」
その言葉を聞いた彼は、そっと顔を上げた。
それから。
「……汐乃」
距離が、0になる。
──触れた温もりはあの頃と何も変わってなくて。
余計、私を苦しめただけだった。