【完】復讐の元姫
『ちょ、お嬢様──』
慌てた様子のハルトを無視して、電話を切る。
そんな私の様子を、みんなは心配そうに見つめていて。
「シオちゃん、」
「大丈夫だから」
「え、でも、」
「ほんと、大丈夫だから」
とりあえず着替えてくる、と部屋を出る。
「あれ、おはよー。シオ」
と、同時に。
今起きてきただろう奈々とすれ違った。
「おはよ、奈々」
彼女に、普通に返事している自分がなんだか不思議で。
「着替えてくるね」
彼女が私を“シオ”と呼ぶようになったことにさえ、違和感がなくて。
なぜだか、変わった龍錬花に馴染めてる自分に怖くなった。