【完】復讐の元姫
:時の雨
【side時雨】
ふう、と。
ため息をついて、階段横の柵にもたれかかる。
下を見れば、本当に“裏切った”と言われたのか分からないぐらい、下っ端たちに笑顔で囲まれているシオの姿。
幹部も時折、話に混ざっていて。
幹部室には、奈々だけが取り残されていた。
取り残されてるというか、残ってる感じだな~。
っつうか、麗まで下にいるなんて珍しい。
「シオちゃんっ」
昨日、シオにああやって文句言っていた梨緒。
でも、今は。
「どっかお出掛けしたいなぁ、僕」
まるで、あの頃みたいだ。
シオが姫の頃、倉庫はいつもこんな感じだった。
それが、奈々になってからは。