【完】復讐の元姫
あまりにも、タイミングが良すぎた。
シオが姫を辞めた時、コイツが姫になった。
正直な話、麗との関係も謎だし。
麗がコイツのことを手元に置いておきたいと思ってるようには、到底見えない。
「お前さ~、」
幹部室の扉にもたれかかって、口を開く。
「何がしてーの?」
俺の言葉に、奈々は首を傾げた。
「何がしたい、って」
「シオの居場所を奪って、楽しいか?」
俺の質問に、あからさまに顔をしかめる奈々。
「なんのこと?」
「忘れたとは言わせないぞ~、奈々」
俺の言葉に、ふっと笑った奈々は。
「時雨こそ、忘れたとか言わないでよ」
──俺の、元カノ。