【完】復讐の元姫
「汐乃」
優しく私の名前を呼んだ麗に、ゆっくり顔を上げる。
相変わらず、麗は無表情で。
何を考えてるのかよく分からないけど。
「もう、避けたりしなくていい」
優しい口調で、彼がそう言うから。
「避けなくて、いいって……」
思考が追いつかなくて、困る。
「学校でも普通に話しかけてくればいい。
アイツ等も昨日と今日、楽しそうだっただろ」
本当、麗はずるい。
私、復讐しようとしてるのに。
奈々と麗に、復讐しようって。
そう思ってたのに。
そんな優しいこと、言われたら……。
「お前のことも、ちゃんと俺等が護ってやるから」
涙が、止まらなくなる。