【完】復讐の元姫
「ん~?まぁ、最近ずっと授業出てるからねぇ」
たまには息抜きしたいんだよ、と時雨が言って。
「デートにぴったりの相手、みっけたから」
私と繋いだままだった手を、再び軽く持ち上げる。
「その子じゃなくても、時雨なら相手いると思うんだけどな」
沙和は、私を“その子”とか“あの子”とか呼ぶけど。
直接呼ぶ時には、「南さん」って呼ぶ。
前はシオ、だったのに。
「俺はシオが良かったからな~」
それだけ言って、時雨は歩きだす。
梨緒が何か言おうと、口を開いたけど。
「ああ、俺がいないこと上手く誤魔化しといて~」
振り返ってそう言った時雨に、梨緒は黙った。
沙和も何も言うことはなくて。
結局、私は時雨と一緒に学校を抜け出した。