【完】復讐の元姫
「ふっ、バカじゃねーの?」
口は悪いけど、すごく優しい声だから。
「お前が力になれることなんて、ねーよ」
こんな風に言われても、傷ついたりしない。
彼は少々短気ではあるけれど、やっていいことと悪いことの区別ぐらいは出来る。
「まぁ、サンキュ」
それだけ言って去っていった彼の後ろ姿は、さっきよりも断然元気に見えて。
「いやあ、無自覚って怖いね」
「へ?」
「シオの場合は、無自覚っていうか小悪魔?
だけどやっぱり自覚してないから無自覚か」
……え、なに。突然。
「ある意味タチ悪いね」
そう言った彼の言葉が理解できなくて、首をかしげる。
沙和はそんな私を見て、くすりと笑った。
タチ悪いのは、沙和の方だ。