【完】復讐の元姫



「様子見に行かなくていい?」



『さっき行ったばっかだから大丈夫~』



「わかった」



今から屋上行くね、と言って沙和にスマホを返す。



「時雨も心配性だね」



「昔から、みんな過保護だったもの」



「そりゃあ、姫を護るのが俺等の仕事だから」



その割には、奈々のことは放置じゃない?




そう言いそうになって、その言葉を呑みこむ。



「早く行こう?」



「うん」



屋上に行けば、少し肌寒くて。



ブレザーは着ているけれど、それでも寒い。



「……汐乃」



麗が渡してくれたのは、畳んであったブランケットで。



「ありがと」



そういうちょっとした気遣いが嬉しいなんて、彼はきっと知らない。



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