花のような笑顔
華『今日はね…私の誕生日でもある…けど…それより大切なことがある。

今日は…両親の命日なの。』


三人が息を呑むのを感じた。


華『両親が死んでから…命日が近づくと毎日両親が死んでしまった時の夢を見るの。

両親が残してくれたことば、両親の最後の表情…どんどん赤に染まっていく光景…身体がだんだんと冷たくなっていく感覚…。

全部、全部、リアルに出てくるの。

でもそれでも…暴れないのは狼のおかげなの。

毎晩、介抱してくれるから私は私を保ててる。

本当にありがとう。』


私の話が終わると狼は壊れそうなぐらいキツく抱きしめてきた。

その手は少し震えていた。

私は狼の広い背中に手を回した。
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