花のような笑顔
〜 狼 side 〜

外傷がないからすぐに目を覚ますだろうと健が言っていたが、出会ってすぐの頃のこともあって、俺は少し不安だった。

まだ1日しか経ってねぇのにな。

若頭ともうあろう男がこんなんじゃ情けないな。

そう自嘲していると握っていた華の手がピクッと動いた。


狼『華?』


そう声をかけると華の瞼が少しずつ開いた。


華『狼?ただいま…』


華が弱々しい声を出して俺の名前を呼ぶ。


狼『華、おかえり』


俺はそう言って華を苦しくない程度に強く抱きしめた。
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