キラキラ〜不良な君に恋してる〜
それでも、いつしかその本に没頭していた私は、時間も忘れ読みふけっていた。
「…いつまで読むの?」
そんな声が突然降ってきたことにも、「もう少し…」と自然と答えてしまうくらい。
私はほかの事が、全く見えていなかった。
「え?」
答えてから、おかしいことに気づき顔を上げる。
「あ、葵くん!」
私の目の前に足を椅子にあげ気怠そうに座っている葵くんがいた。
え、どうして?
というか、いつの間に?
「いつから…?」
「…五分くらい前」
「五分!?」
結構前…。
私、全く気付かなかった。
変な顔で読んでなかったかな?
もう、最低だ。
葵くんがいることに気づけないなんて。
「すごい、集中力な」
「…ごめんなさい。声、かけてくれたり…した?」
「いや。集中してたから。でも、いい加減俺が飽きた」
それはそうだろう。
人が本を読んでいる姿をいつまでも見ているのは退屈に違いない。