キラキラ〜不良な君に恋してる〜
「ねぇねぇ、早瀬さん、移動教室一緒行こうよ」
「う、うん…いいよ」
「ちょっと、私もいるんだからね、わかってる?」
「しょうがないなぁ。市川さんも一緒でいいよ」
「あのねぇ!」
賑やかな声が聞こえる。
嫌でも耳に入るあのさわやかそうな男の声。
それに、少し戸惑いながらも笑顔で答える彼女、千世子の声。
胸糞悪い。
俺は、鞄を掴み教室から出ようとその騒がしい集団の横を通った。
その瞬間、千世子が俺を見ていることに気づいてしまう。
でも、俺は気づかないふりを決め込んでそのまま廊下に出た。
「ほら、行こうぜ!」
「うん…。待って、用意するから」
相変わらず後ろから聞こえる耳障りな声を消し去るようにイヤホンを耳に刺した。