キラキラ〜不良な君に恋してる〜
「助かった。サンキューな」
「い、いえ…」
「気をつけて帰れよ」
何故だろう。
少しだけ、本当に少しだけ、後ろ髪引かれる思い。
もう少し一緒に……。
「じゃ、あ…さよなら」
その思いを断ち切るように別れを告げ、向きを変える。
その時、腕をグッと掴まれ引き止められた。
「え……」
掴まれた腕を見て、藤堂くんを見上げる。
「…敬語、覚えとけよ」
「あ…はい……」
藤堂くんはそう言うと掴んでいた腕を放した。
私は戸惑うように目線を泳がせた後、藤堂くんに頭を下げて歩き出した。
何故だろう。
少しだけ寂しいと思う。
そんなの、おかしい。
だって、私は今までのいつも通りの日常を望んでるんだから。