キラキラ〜不良な君に恋してる〜



そういう私自身、藤堂くんとは言葉を交わしたことは一度もない。
私の存在すら藤堂くんが知っているか怪しいくらいだ。




放課後、家に帰るために駅に向かっていた私が目にしたのは、反対側の歩道を数人で楽しそうに笑って歩く藤堂くんの姿だ。
笑っている…。

遠めだけれど、包帯を巻いていたりといった目立った外傷はない。




やっぱり、あれは噂だったんだろうか。





それにしても、話題の尽きない人。





私には関係ないのだと、気を取り直して駅までの道を歩く。
彼がケガをしていようが、どこで何をしていようが。



私には、かかわりのないこと。






クラスメイトだなんて思っているのは、きっと私だけなのだろうから。
そう言い聞かせるように、私は頭の中をリセットした。





帰ったら、この前借りた本の続きを読もう。
昨日盛り上がりの直前までしか読めなかった。
今日のところからが、物語の盛り上がりだ。

楽しみで仕方ない。
だから、駅に向かう足を止めるわけにはいかないのだ。






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