あべこべ恋愛事情
唐突過ぎる出来事に俺の頭は回らない。思考回路はショート寸前、なんかの歌の歌詞にあったが、まさに今その状況だ。

「あ、あの、ダメならそれでいいんですよ・・・やっぱり私みたいなのじゃダメですよね、今すぐってわけじゃないんです。良かったら考えてくれるだけでも・・・」

「いやその、ごめん。いきなり過ぎてびっくりしちゃって・・・。俺あんまり関わった事無かったし。俺なんかで良いのかなって思って・・・」

「いいの!私は羽間さんがいい。それに羽間さんなら私の事も理解してくれるかなって思って・・・。あ、羽間君のがいいのかな?」

正直そこはどっちでもいい。呼び方気にする辺り俺が女だという事を把握した上で告白してくれた様だ。こんなに可愛い子が、俺に・・・。これを受けないわけが無い。

「呼びは・・・輝でいいよ。その、俺も前から気になってたって言ったら気になってたし。だから、俺で良ければ付き合ってください」

「え・・・。ほ、本当に?本当の本当に私でいいの!?」

驚きと喜びに包まれた表情をする水芝。可愛い子はどんな表情でも可愛い。気になってたというのだって嘘では無い。この学校でランキング付けされたらかなり有名になる。しかもTOP3となれば尚更だ。俺は去年4位に入った。TOP3は逃したものの、そこまで順位にこだわりは無かった為素直に嬉しかったのを覚えている。ただ、同時に一部の偏見を持った人間からは女子の癖に男子のイケメンランキングに入ってて良いのかと文句を言われたものだ。投票したのは俺では無いのだから入れた人間に言ってもらいたい。

「本当だよ。そんなに疑わなくても。その・・・これからよろしくな。俺の事は輝でいいからさ」

「あ、私は弥生でいいから・・・。よろしくね、輝」

嬉しそうに笑う弥生。笑った顔ももまた可愛い。つられてこっちも顔がほころんでしまう。そんなとこで予鈴が鳴りそれぞれのクラスに戻っていった。


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