しろっぷ
　それを受け取った貴人は軽く書類に目を通し、ポンポンとハンコを押した。
「書類はこれで以上か？」
「はい、ありがとうございます」
「そうか・・・」
　貴人はハンコをデスクに置き、その書類を正志に返却。
　ブゥーン、ブゥーン。
　ハンコの近くに置いてあった貴人のスマートフォンが鳴り、貴人はそれを手に取ったのであった。
「・・悪い、用が済んだなら部屋から出てもらえるか？」
「はい。それじゃあ出ましょうか橘先輩」
「え、あ・・・」
「どうしたんです？まだ仕事あるんでしょう？」
「・・・うんそうだね」
　チラッと貴人の方を見たゆかり。
　貴人の表情は少し不満そうな顔をしていだが正志は気づいていなかった。
　
　正志！！
　アンタ、少しは空気を読みなさいよ。
　大事な話だったのに〜。

　だが、今ここに留まる理由もなく、やむなく頭を下げて退室し、ゆかりと正志は社長室から出た。
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