しろっぷ
　ゆかりがこう言うのは、今真紀が住んでいるマンションの一つ前がこの部屋より散らかっていたからだった。
　しかし、現在は武彦のためにと部屋を大掃除し、今では常時部屋を綺麗な状態を保つよう心がけていた。
　因みその大掃除の大半がゆかりであったわけなのだが。
「そういえば正志君は呼ばなかったの？」
「え？」
「ほらあの子ガタイはいいし、よく動くからこういった時に役に立ちそうじゃない」
「あ、うん・・・。何か用があるって言っていて」

　・・・何にも知らないくせに〜。

　本当はそうやって口に出したかったゆかりだったが、グッと堪えて言葉にはしなかった。
「そうか来ないのか」
「・・・・・」
「まあ重い荷物は業者さんがやってくれるし、私たちは軽いやつを先にしてよ」
「・・・うん、そうだね」
　二人は引越しの準備に取り掛かり、その30分後には引越し業者がゆかりのマンションの部屋に。
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