しろっぷ
「まあこんな展開はないにしても、仲良くなるくらいはね」
 そう言って正志の元に戻るゆかりの顔はまだニヤニヤ。
 一人妄想から帰ると、正志は少し複雑そうな顔をしていてこちらの方を見ていた。
「ただいま〜♪」
「お、おかえりなさい・・・」
「どうしたの正志?」
「いや、何か嬉しそうな顔だなって」
「そ、そんなことないって!それよりそろそろ出ようか?」
 さっきのことがバレないよう正志を急かすが、顔の表情は隠し切れてはいなかった。
 レジに行き、ゆかりは財布をバックから取り出そうとするが、正志はそれを手で遮った。
「今日はオレが奢りますんで」
「本当にいいの?ご馳走様〜♪」
「そ、それで、良かったらでいいんですけどこの後一緒にどこ・・・」
「ごめんね。この後友だちと会う約束が出来ちゃって」
「そうですか・・・。いえ気にしないでください。先輩がヒマかな〜って思ったんで」
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