しろっぷ
 ガバッ。
 貴人は力任せにゆかりを抱き寄せ、突然のことにゆかりは一瞬何が起きたのか理解出来なかった。
「ちょ、冗談はやめてください」
「よく見たら可愛いじゃん」
「だ、ダメ。やめてーーーーー」
 しかし、貴人のスリムな見た目からは想像出来ないほど力強い。
 そのため、貴人を振りほどけないことにイライラしてきたゆかりの態度はどんどん荒くなってきた。
「やめてって言ってるでしょう!!」
「いいねその強気。ますますオレの物にしたくなった!!」
「ふ、ふざけな・・・」
 それ以上の言葉を言わさないよう、ゆかりをしっかり抱きしめ、貴人はゆっくりゆかりにkiss。
 力強い抱きしめとは裏腹に、貴人のkissはコーヒーの苦さとクリームのように優しい唇がゆかりの頭を真っ白。
 始めこそ抵抗する気持ちはあったが、この優しいkissにゆかりは目をつぶって身を委ねてしまった。
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