しろっぷ
「まあいいさ。今日はもう少しで終わるからさっさとやるぞ」
「・・・・・」
「何だ?まだ欲しいのか?」
 パン!!!
 貴人に向かって力いっぱい平手打ちをし、ゆかりは貴人を鬼の形相のように睨みつけ、社長室から出ようとした。
 が、貴人はゆかりの手を掴み、社長室から逃げ出さないよう鍵をかけた。
「離してください」
「ようやくいつもの調子に戻ったな!!」
「こ、こんなことくらいで動揺とか・・・」
「なら何で逃げる?」
「・・・・・」
「オレに惚れてしまったか?」
「違います・・・」
「その言葉、オレの目を見て言えるか?」
 貴人は真っ直ぐな瞳をゆかりに向けるが、ゆかりは貴人の目おろか身体の一部も見れないほど照れていた。

 こんな最低男にときめくとかあるわけない・・・。

 そう思ってゆっくりと貴人の方を見るが、貴人と目線があった途端、唇も同時に目が入り、顔をそむけてしまった。
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