しろっぷ
 あれくらいのこと〜?
 私がどれだけ怒ってるかも気づかないのこのバカ社長は〜!!

 またもや、ゆかりは貴人を睨みつけるのだが、貴人は全く気にしていない。
 それどころかバカにするような笑いをし、更に反感を買った。
「いいから早く行くぞゆかり」
「え?」
「どうした突然?」
「今、名前を・・・」
「下の名前ゆかりであってるだろう?」
 今までそう呼んでいたかのような自然体の貴人。それに対し、ゆかりは違った。

 ちょっ、恥ずかしいからいきなり名前で呼ばないでよ。
 ・・・・・って、別にそんなんじゃないから!!
 
 しかし、心の何処かでは嬉しいのか、髪をかきあげ、チラチラと貴人の方を見ては、赤い顔がバレないように横を向いた。
「ほらグズグズするな早く行くぞ」
「あ、あのバックを取って来ていいですか?」
「なら5分後に下で集合な」
 一度社長室を出て、荷物を取りにデスクまで走った。
< 63 / 306 >

この作品をシェア

pagetop