しろっぷ
 自分がこれを着ていいのか考えてしまい、なかなか着る勇気が出ない。
 が、いつまでも貴人たちを待たすわけにもいかないため、今着ているスーツを脱いで高級スーツに着替えた。
 そして、試着室のカーテンを開けると貴人と仲村がゆかりに注目。
「お似合いですよ橘様」
 仲村は優しい笑顔で答えた。
「馬子にも衣装だな」
 ニヤニヤしている貴人。

 馬子にも衣装?
 確かこのバカ社長が全部持つって言ったよな〜。

 それから何かが吹っ切れたゆかりは、自分の好きな色や雑誌で一度見ただけのバックなどを指差した。
 その際、貴人の困る顔が見れると思いチラチラと見るが、貴人は呑気に仮眠。
 勝手に引くに引けないところまで追い詰められたゆかりはもう何がなんだがわからなかった。
 そして、金額は中古なら家が帰る価格を超え、仲村は寝ていた貴人を起こす。

 や、やっぱりこれは不味かったかな?
 弁償とかしろって言われたらどうしよう〜。
< 74 / 306 >

この作品をシェア

pagetop