しろっぷ
 じゅ、住所を・・・ですか?
 ゆかりの第六感はそれを取ってはいけないと言っていたが、周囲のプレッシャーに負け、震えながらもその紙を両手で受け取った。
 そして、来た時に着ていたスーツの胸ポケットから『しろっぷ』で購入したのボールペンを手に取り、それで紙に自宅の住所を記入。
 それからそのボールペンを試着したままの新しいスーツの胸ポケットに入れ、メモの紙を仲村へ。
「ありがとうございます。今着ていらっしゃるスーツとバックなど以外はお送りさせていただきます」
「・・・お願いします」
「ゆかり、その古いスーツは捨ててもらえ」
 貴人はゆかりが着て来たスーツをボロ雑巾でも捨てるかのように掴んだ。
「ま、待ってください」
「いらないだろうこんな古いの」
「その中には色々入っているんです」
「まあまあお二人とも」
 仲村は貴人から優雅にスーツを受け取り、それをゆかりに。
「あ、ありがとうございます」
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