時空(とき)の彼方で
思い出せなかった記憶が、観覧車という言葉によって、キラキラと輝きを帯びて蘇った。
彼女は、席にコーヒーが届く前に席を立った。
「ありがとう」
そう4人に向かってお礼を言ったが、彼女達には何の事だかさっぱりわからなかった。
彼女は劇場に向かった。
今日は確か夕方の公演があるはずだ。
仕事だと思っていた彼女は、今日の分のチケットは取っていない。
当日券は残っているだろうか。
もし残っていなくても、劇場の外で待つつもりだった。
劇場に着くと、さいわい2階席に空きがあった。
すぐにチケットを購入する。
開場まで約1時間。
開場前のテントでは、グッズ販売が始まっていた。
彼女はパンフレットを購入する。
彼との事を思い出すと、それと同時に岩清水の事も思い出した。
向こうの世界には、岩清水の恋人であるもうひとりの自分がいる。
彼は、戻ってもこっちの世界の自分と上手くいくように願っていた。
3年前、確かに彼から告白された。
その時はまだ達樹の事を思い出してはいなかったけど、片思いという形で彼を好きになっていたので、交際を断った。
そもそも、岩清水がチケットをくれた事が発端だ。
あのチケットを貰っていなかったら、小川達樹の存在に気づいていなかったかもしれない。
岩清水から告白された時、OKしていたかもしれない。
彼女は、不思議な力を感じた。
今日の舞台も素晴らしいものだった。
いつもならこの余韻をまとい、階段の下で彼を待つところだが、今日の彼女は違っていた。
幕が下りるとすぐに席を立つ。
そして、一目散に楽屋を目指した。
楽屋前の廊下にはまだ誰も集まってはいなかった。
トントン。
彼の楽屋のドアをノックする。
「はい」
中から出て来たのはスタッフとおぼしき若い女性だった。
「達樹さんにどうしても話さないといけない事があるんです。中で待たせて下さい」
「ダメです。楽屋にはスタッフ以外は入れません」
彼女は、席にコーヒーが届く前に席を立った。
「ありがとう」
そう4人に向かってお礼を言ったが、彼女達には何の事だかさっぱりわからなかった。
彼女は劇場に向かった。
今日は確か夕方の公演があるはずだ。
仕事だと思っていた彼女は、今日の分のチケットは取っていない。
当日券は残っているだろうか。
もし残っていなくても、劇場の外で待つつもりだった。
劇場に着くと、さいわい2階席に空きがあった。
すぐにチケットを購入する。
開場まで約1時間。
開場前のテントでは、グッズ販売が始まっていた。
彼女はパンフレットを購入する。
彼との事を思い出すと、それと同時に岩清水の事も思い出した。
向こうの世界には、岩清水の恋人であるもうひとりの自分がいる。
彼は、戻ってもこっちの世界の自分と上手くいくように願っていた。
3年前、確かに彼から告白された。
その時はまだ達樹の事を思い出してはいなかったけど、片思いという形で彼を好きになっていたので、交際を断った。
そもそも、岩清水がチケットをくれた事が発端だ。
あのチケットを貰っていなかったら、小川達樹の存在に気づいていなかったかもしれない。
岩清水から告白された時、OKしていたかもしれない。
彼女は、不思議な力を感じた。
今日の舞台も素晴らしいものだった。
いつもならこの余韻をまとい、階段の下で彼を待つところだが、今日の彼女は違っていた。
幕が下りるとすぐに席を立つ。
そして、一目散に楽屋を目指した。
楽屋前の廊下にはまだ誰も集まってはいなかった。
トントン。
彼の楽屋のドアをノックする。
「はい」
中から出て来たのはスタッフとおぼしき若い女性だった。
「達樹さんにどうしても話さないといけない事があるんです。中で待たせて下さい」
「ダメです。楽屋にはスタッフ以外は入れません」