夏恋花火
『柏木……わりぃな……』
少し切なげに彼は私に呟いた
ずるいよ……そんな声でそんな顔で
胸が締めつけられた
彼への想いが募るだけだった
『もーいい!知らない!!』
春くんの横にいた彼女は怒って
どこかへ行ってしまった
「彼女……追いかけなくていいの?」
不安気味に聞くと春くんは
彼女じゃないしねと苦笑いで答えた
彼女じゃないんだ……
私、最低だ
彼女じゃないとわかって
喜んでる自分がどこかにいる