歩道橋で会おうね。









「…じゃ」



スタスタと吾妻くんは行ってしまった。




私はその場に立ち尽くしていた。

吾妻くんの哀しき過去。

そして、初めて知った事実。

…私以外にもいじめられていた人がいるってこと。




どうして気づけなかったんだろう?

気づけたら、颯天くんは死なずに済んだのに。

吾妻くんが哀しき過去を背負う必要もなかったのに。




私は泣いた。

もしかしたら今も、どこかで誰かが泣いている。

哀しき涙が消えることは、ないのかもしれない。



人は死んだら、どこへ行くのだろう?

ハルキくんに前に聞かれた。



…わからない。

でも、きっとこの世界よりは幸せな世界であってほしい。





「…アオ」



そっと、優しい声が聞こえた。













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