歩道橋で会おうね。
「…俺に何か用?
まさか嫌味でも言いに来たわけじゃないだろう?」
「お前がいじめた、高岡碧愛を覚えているか?」
俺が言うと、銀は奇妙に顔を歪めた。
思い出したくないらしい。
「…ッ」
「その反応は覚えているのね?」
滅多に怒らない、俺の隣にいるアユが怒る。
「何でアオをいじめたのよ!
あんたがいじめなければ、アオは声を失わずに済んだのに!!」
「…え?」
「アンタは知らないでしょうね!
アオはクラスメイトに知られることを拒んだから!
アオはね、声を失ったのよ!
お医者様はね、いつ治るかわからないって言うのよ!
全て全て…あんたのせいよっ!!」
「アユ!言いすぎだ!!」
「止めないでお兄ちゃん!
お兄ちゃんは許せるの!?
アオの声を、歌を奪った…コイツが!!」
許せるはずがない。
でも…。
「…ッ」
目の前で、絶望に染まった銀が、哀れに見えたんだ。
とても…可哀想だと思ったんだ。