歩道橋で会おうね。








羽菜さんは悲しそうに目を伏せた。

視線の先には、意識不明の銀がいる。





俺も、銀ではなく、ハルキと呼んであげようか。




ハルキを、許したわけではない。

あーちゃんの声を無くしたのは、紛れもなくコイツが原因だから。





でも、何か理由があるのかもしれない。

ハルキがあーちゃんをいじめた理由が。

理由がなければ、ハルキはあそこまで激しく謝らない。

“ただ何となくウザイからいじめた”などと言う理由で、壊れた人形のように謝るはずがない。

何か理由があったんだ。

あれが演技だとは思えない。

本当はいじめたくなかったんだ。

ただ何か、大事な理由があっていじめたんだ。





そもそも可笑しい。

常に笑顔を絶やさず、誰とでも分け隔てなく接することのできるハルキが、ウザイなどと言う自分勝手な理由で、他人をいじめるはずがない。

アユに聞いたところ、ハルキはあーちゃんと何の接点もない。

ただ同じクラスだということだけ。

俺やアユ以外に親しい友人のなかったあーちゃんは、大体の時間を俺らと過ごした。

他の奴らと接する機会なんてなかったんだ。





何か、理由があったとしか、思えない。












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