歩道橋で会おうね。
しかしハルキは、キョトンとした表情を浮かべていた。
まるで俺らのことを知らないような表情だ…。
「…ハルキ?」
羽菜さんが笑顔から一転、不安そうな瞳をハルキに向けた。
しかしそんな瞳もすぐに消え、再び笑顔で話しかける。
ハルキは戸惑いながらも、返事をした。
…敬語で。
先生たち年上にしか使わなかった敬語を。
何故か義理でも姉である羽菜さんに敬語を使っている。
「…歩生くん、アユちゃん」
羽菜さんは真剣な眼差しを俺らへ向けた。
「お医者様を呼んできてくれるかしら?
わかるわよね?」
わからぬまま俺らは頷いた。
病室を出て、ハルキを診てくれた医者を探す。
すぐに見つかり、ハルキが目を覚ましたことを伝えた。
医者は看護師を連れ、ハルキの病室へ向かう。
「ねぇお兄ちゃん…」
「大丈夫だ。意識がまだ朦朧としているだけだよ」
敬語を使うハルキに戸惑いを隠せないアユに、俺は伝えた。
大丈夫。
すぐに笑顔のハルキに戻るはずだ―――…。