歩道橋で会おうね。
医者はハルキに話しかけた。
「君は、水川遥希くんだね?」
「みずかわ…はるき……?」
オウム返しに来る答え。
何故だか、この病室の空気は重い。
「ここは成宮総合病院。
君が住む、遥華市で大きめの病院だ。
それで君は水川遥希くん。
…覚えていないかい?」
ハルキは、静かに頷いた。
覚えていないかい?と言う医者の質問に、頷く。
どういうことだ…?
記憶を、失っている…?
医者は真面目そうな顔をすると、羽菜さんに色々聞いた。
羽菜さんが義理でも姉だということがわかると、俺らの方を見た。
「ご友人の方、失礼ですが―――」
家族である羽菜さんにしか聞けない話だ。
しかし俺は退室を拒否した。
隣でアユが驚いている。