歩道橋で会おうね。








医者はハルキに話しかけた。




「君は、水川遥希くんだね?」

「みずかわ…はるき……?」



オウム返しに来る答え。

何故だか、この病室の空気は重い。




「ここは成宮総合病院。
君が住む、遥華市で大きめの病院だ。
それで君は水川遥希くん。
…覚えていないかい?」




ハルキは、静かに頷いた。





覚えていないかい?と言う医者の質問に、頷く。

どういうことだ…?





記憶を、失っている…?





医者は真面目そうな顔をすると、羽菜さんに色々聞いた。

羽菜さんが義理でも姉だということがわかると、俺らの方を見た。




「ご友人の方、失礼ですが―――」



家族である羽菜さんにしか聞けない話だ。

しかし俺は退室を拒否した。

隣でアユが驚いている。







< 149 / 259 >

この作品をシェア

pagetop