歩道橋で会おうね。
吾妻くんとは、過去のことを知った日から会っていない。
担任が話していたけど、元々前の学校でも欠席気味だったらしい。
別に体が弱いというわけではない。
世に言うサボリだ。
担任は何度も吾妻くんの両親に会って、話そうとしたらしいけど、仕事が忙しいとか色々理由をつけられ、会っていないそうだ。
「そちらが真島のお兄さん?
初めまして。
高岡と真島のクラスに転入してきました、吾妻晴実です」
「あ、どうも。
妹がお世話になっています。
真島歩生です」
自己紹介をした後、アックンは「うん?」と首を傾げた。
「何で俺がアユの兄だと…?」
顔を見ただけでわかるはずない。
でも吾妻くんは“真島のお兄さん”と言った。
アユもその理由は分かっていない。
私は知っている。
ホワイトボードに、書きこむ。
〈吾妻くんは、私たちと同じ小学校だよ。
私やアユ、ハルキくんとは同じクラス〉
「え…そうなのか?」
「だからあたしのこと知っていたんだ…」
「今まで忘れていたわけ?
頭悪いんだな、高ノ宮男子高校も」
溜息をつきながらサラッと毒を吐く吾妻くん。
相変わらずキツいなぁ…。