歩道橋で会おうね。







お伽噺や漫画とかでしか見なそうな王子様。

小学校時代がきっかけで、男子なんて嫌いだったのに。

クラスで女子が騒ぐアイドルになんて興味なくて。

でも、助けてもらった時はかっこいいと思ったんだ。





『こんな所で落ちそうにならないでくださいよ。
たまたま僕が通ったから良いものの、誰も通らなかったらあなた死んでいましたよ。
まぁあなたのこと僕は知りませんから、あなたが死のうが生きようがどうでもいいですが。
馬鹿は馬鹿らしく、早く家に帰ってください』




極上の笑みを浮かべたまま、そう言った王子様。

あのイケメンの外見とは似つかない、毒舌攻撃。

信じられなかった。

人を外見では判断してはいけないと、思った瞬間だった。




でも多分、この時だろう。

私がハルキくんを好きになったのは。

信じられないことを言った彼が、気になってしょうがなかったんだ。




でもまさかなぁ。

私の声を消した原因の銀が、コイツだったなんて。

神様は意地悪だねぇ。

銀と再会させるなんて。




でも当の本人はその時の記憶を失ってしまっていた。

彼は記憶を失い、私は声を失った。

小学生の頃いじめられていた私も、いじめていた彼も、大事なモノを失っていた。








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