歩道橋で会おうね。
入ってきたのは、つり目で強そうな黒髪の女性。
え?誰?
格好は黒を基調にしたもので、エリートって感じ。
「…先客がいたわね」
女性はよく通る鋭い声で言い放つ。
「ハルキの知り合いかしら?
羽菜の知り合いで来るわけないもの」
コクンッと頷くと、女性は大きな溜息をついた。
初対面のはずなのに、溜息つかれた…。
「呆れた。
最近の子は駄目な子ばかりね。
ちゃんと挨拶も出来ないなんて」
私、今時の子の代表じゃないんですけど。
駄目な子ばかりって、決めつけないでくださいよ。
まぁ良いや。
ホワイトボードに、名前を書く。
〈ハルキくんの友達の、高岡碧愛です。
私声が出ないので、これを使って会話をしています〉
女性は細い目をますます細め、私が書いた文字を眺めた。
読み終わったのか、女性は小さく2回頷いた。