歩道橋で会おうね。
は?
羽菜さんだけで十分?
血の繋がっているハルキくんより、血の繋がっていない羽菜さんを取るの?
〈…どういう意味ですか〉
「どうしてあなたになんて言わないといけないのよ」
「聞き捨てならないからです」
信じられない。
羽菜さんも確かに必要だけど、羽菜さんだけでは十分になれないはず。
ハルキくんがいて、初めて十分になるはずなのに。
「…しょうがないのよ。
ハルキさえいなければ、ワタシは幸せになれたんだもの」
どういうこと…?
「ハルキがいるから。
ハルキが生まれたから。
…ワタシは今の窮屈で縛られた人生なのよ。
ハルキさえいなければ、良かったのよ」
ちょっと待て。
聞き捨てならない!
〈あなたハルキくんのお母さんでしょう?
それなのにハルキくんさえいなければって。
どうしてそんな残酷なこと、平気で言えるんですか?〉
「本当のことだからよ。
まぁあなたには関係ないわ。
これ以上知って、あなたはどうするつもりよ」
文菜さんの目は、有無を言わせない。
私はそれ以上何も言えなかった。