歩道橋で会おうね。
人に優しく。
僕はオジサンの言葉を信じることにした。
母さんに笑顔になってもらうため。
僕は学校で、多くの仕事をこなした。
常に笑顔でいた。
誰もが僕に優しくしてくれた。
勉強もスポーツも、手を抜いたことはない。
手を抜かなければ、誰もが笑顔になる。
テストで100点を取れば、母さんも少しは褒めてくれる。
保護者が出席する学校での行事で僕が目立つと、母さんは他の保護者に僕を自慢した。
その顔は、笑顔だった。
多くの友達がいた僕だけど。
最も親しい友達、親友は1人だけ。
クラスメイトの、吾妻颯天。
颯天は僕の親友だった。
颯天の双子のお兄さんである晴実くんは、僕と同じく、いつも多くの仲間に囲まれていた。
でも颯天は晴実くんとは正反対で、常に1人で読書を楽しむような性格。
どちらかと言えば晴実くんと性格が似ていた僕と、友達になるような人ではなかった。
ある時。
僕が先生に頼まれ、図書室に大量の本を返しに行くとき。
高く積まれた本で、僕は前が見えなかった。
通りすがりに多くの友達に声をかけたけど、誰もが「重いから嫌だ」と断った。
人に優しくするべきなのに。
僕は小さく溜息をついた。