歩道橋で会おうね。
僕らが仲良くなるのに、時間はかからなかった。
元々僕は、静かな性格だし。
周りが賑やかだから、自然に賑やかな性格になるだけ。
僕は自然に周りと合せていたんだ。
でも颯天は違う。
決して“自分”を曲げない。
周りがどうであれ、“自分は自分”を突き通していた。
周りはそれがあんまり気にくわないみたいだけど、僕は常に自然で自立している颯天が気に入った。
同時に、羨ましかったんだ。
僕は颯天に、多くの本を貸してもらった。
本になんて縁がなかったけど。
颯天が貸してくれる本は、読みやすく、全て面白かった。
自然に僕は図書室へ通うようになり、面白そうな本を借りれるだけ借りた。
読む本は、作者の作る空想の世界から、実話まで。
読める本は片っ端から読んだ。
「ハルキ、最近ボクより本読むようになったよね」
「面白いからね。
続きが気になっちゃって」
本を読むことで漢字を覚え、苦戦していた国語のテストではクラスで颯天に並ぶ最高点数を取ったこともあった。
数学や理科などは元々得意だったので、それが苦手な颯天に教えることもしばしばあった。
人に教えることで自分も覚え、年に数回行われる全国小学生一斉テストでは常に10位以内にランクインするようになった。
お蔭で先生たちの評判も上がり、クラスメイトからも褒められることが多くなり、母さんも僕のことを周りに自慢しては喜んでいた。
全て、颯天のお蔭だ。
颯天のお蔭で、全てが上手く回り始めたんだ。
ありがとう、颯天。
あの時僕に話しかけてくれて。