歩道橋で会おうね。
小野の思っても見なかった発言に、驚く僕。
逃げたくなったけど、今いる学校の裏庭は、全て小野の仲間(というかとりまき?)によって包囲されているから、逃げ出せない。
小野の仲間には、有名な暴走族の総長の中学生の息子とかもいる。
格闘技を何も習っていない僕が、勝てるような相手ではない。
…逃げ出せない。
「どちらか選べ。
高岡をいじめるか、吾妻をいじめるか」
「どちらも…無理だよ」
「なら、ここで死ね」
小野が鞄から取り出したのは、折り畳み式ナイフ。
刃先が太陽の光を浴び、キラリと光る。
「…ッ」
「高岡、この間オレにぶつかったのに謝りもしねぇ。
謝れって言ったら、オレが悪いとかぬかしやがって。
…うぜぇんだよ、どいつもこいつも」
「…それだからって、いじめるのか?」
「ああ。
退屈な生活に、オレは嫌気がさしているんだよ。
で、優等生ぶっているお前をターゲットに、遊ぼうと思ったんだよ」
「…人に優しくしなさいって、言われたことないの?」
「あ?
何言ってんだてめぇ」
「オジサンに言われたんだ。
人に優しくしなさいって」
「てめぇのオジサンが言ったことなんて知るか。
で?お前はどっちを選ぶんだ?」
「…選べないよ」
「なら死ぬんだな?」
「…それも嫌だ」
「なら選べよッ!」
小野の目つきの鋭さに、体が自然に震えてくる。